運動会

職場の運動会に参加した。

数十年の歴史があり、部署同士の争いもマジ。「学生時代、運動会の前日は雨になれって願ったよね」というモヤシっ子あるある首肯型人間も、参加点稼ぎに半ば強制召集なのである。

選んだのはマラソン。チーム競技で誰かの足を引っ張るよりはマシだろう。
スタート直後から、周りの人間が全力疾走といっても過言ではないペースで走りはじめる。おいおい、途中で息切れするぜ、と後方につけたが結局彼らの姿をその後拝むことはなく、ビリから数えたほうが早い順位でゴールイン。実をいうと去年も参加したのだが、その時はまだ全体の真ん中くらいに位置していたのだが。これが……老い?

まぁそれはいい。マラソンコースは町の中にあり、ところどころに女性陣が立って誘導してくれる。後半、坂道を歩いているかの如きペースで駆け上がっていると、その子たちが「がんばって!」と声援を送ってくれる。形だけでもうれしい。「どうも」と軽く手を挙げ、通り過ぎる。

瞬間、背後で女の子同士の声。「結構余裕あるよねー」
ああ、そうさ。いつだって見せかけの余裕をもつためだけに、全てをそれなりに流してきたんだ。マラソンを人生に例えるなんて安っぽい話だけどさ。でもね。

体を動かしている時特有の捉えどころのない思念を弄んでいると、ゴールはすぐそこだ。そして、既にこの順位に対する自虐的言い訳を用意している自分に気づく。