『告白』

(以下、ネタばれあり)

『告白』読んだ。書店のレジ横に平積みされている本を買うのには結構抵抗があったけど、読んでみたらなかなかであった。特に語られるメディアの変化が、良かった。教壇⇒文芸賞⇒日記帳⇒Web⇒携帯電話、ここに『告白』というタイトルの一方向性を重ね合わせると興味深い。

リアリティはないんだけど、細部を語ることで失われていくリアリティ自体が癖になり、3日で一気に読み切ってしまった。

社会人になってからめっきり読書の機会が減っていた中で、こんなに熱中したのは久しぶりである。それでも、これはやはり自分にとって良い読書ではない。

わたしにとって読書とは、前半はその世界観、キャラクター、文体に馴染むまでに四苦八苦し、後半になればなったで、左手に感じる残りページの薄さに気づいて文の途中で突然顔をあげてしまうような。物語そのものに魅せられるだけでなく、現実世界との行き来を楽しむような、そういったものが読書だった。

20代前半までは、本当に力を振り絞りながら本を読んでいた。今となってはそんな体験は夢物語という気もする。そういう意味では『告白』はちょうどいいリハビリにはなったかもしれない。不遜な物言いですが。

あー、本読みたい。